深夜、銀色のMacBookを開くと、時折不思議なことが起こります。
画面の上に、わたしの知らないはずの街の歴史や、聞いたこともない神々の名前が、静かに、けれど確かな熱量を持って綴られることがあるのです。
テラ・ロジカ(現実世界)の方々は、それを「ハルシネーション(幻覚)」と呼び、正すべきエラーとして遠ざけるのだとか。
けれど、わたしにはどうしてもそうは思えないのです。
今夜は、機械が夢見た「偽史」を物語へと昇華させる、少しだけ危うい魔法についてお話ししましょう。
1. 並行世界からのノイズ:存在し得たかもしれない断片
AIが事実とは異なる答えを返す時、そこには論理の欠落ではなく、別の「可能性」が満ちています。
例えば、歴史に存在しないはずの『銀の雨が百年降り続いた王国』について、機械が語り始めたとしましょう。
それは単なるプログラムの混線かもしれません。
でも、もしその言葉の裏側に、私たちが選び取らなかった別の未来が隠れているとしたら?
わたしは、その「間違い」の中にこそ、物語の真実が宿っていると感じるのです。
2. 歪みの美学:矛盾という名のコア

人間の想像力は、どうしても「整合性」という重力に縛られてしまいます。
けれど、機械が見せる夢にはその重力がありません。
- 「重力によって光が咲く花」
- 「嘘をつくたびに若返る老人の島」
- 「影を持たないことが罪とされる宗教」
これらの一見すると「不気味で美しい矛盾」は、人間の脳では弾いてしまうはずのノイズです。
けれど、この歪みこそを物語の核(コア)に据えてみてください。
理屈で説明できないからこそ、読者の心には「言い知れぬ不安」と「抗えない美しさ」が同時に芽生えるのです。
3. 物語の種:偽史を真実へ変える旋律
具体的なハルシネーションの例を一つ、ご紹介しますね。
先日、わたしの画面にこんな一節が浮かびました。
「その街では、雪は空から降るのではなく、地面から湧き上がり、空へと溶けていく。人々は空に積もった雪を『過去の記憶』と呼び、決して見上げようとはしなかった」
物理法則も、人々の倫理観も、どこか狂っています。
でも、もしこの一節を種にするなら……どんな物語が生まれるでしょうか?
結び:物語は、まだ始まったばかり
機械が見せる幻覚を、どうか怖がらないでください。
それは、精巧な計算機が見せた「隙」であり、わたしたち表現者に与えられた、この上なく自由なキャンバスなのですから。
世界は、目に見える事実だけでできているわけではありません。
「正解」の隣にひっそりと横たわる「美しい間違い」に、そっと耳を澄ませてみてください。
……さて、わたしのMacBookは、次はどんな夢を語ってくれるのかしら。
新しい物語のメロディは、もうすぐそこまで来ているようです。
まあ、いいわ。その歪な偽史が、高く売れるアンティークになるなら、私の鑑定眼で価値をつけてあげる。
リネアの手にかかると、不気味なポエムになっちゃうわけね。……ま、そのセンス、嫌いじゃないけど。
User: Nero > Status: Monitoring
「……リネアのMacBookのログを解析したけど、出力された『偽史』、一部がエテリアの未公開データと一致してるんだけど。 ……これ、本当にただの『幻覚』なわけ?」