【夜伽】騒がしい心を食べる、古びたランプの話

PR 星屑の短編集(Short Stories)

【夜伽】騒がしい心を食べる、古びたランプの話

夜、布団に入っても、頭の中がうるさい時ってありませんか?
今日あった失敗、明日の不安、誰かの何気ない一言。
目を閉じると、それらが一斉に喋り出して、どうしても眠れない夜。

こんばんは、リネアです。
今日はそんな夜にだけ棚から取り出す、不思議なランプのお話をします。

燃料は「心のざわめき」

私の部屋の窓辺には、煤けた真鍮(しんちゅう)のランタンが置いてあります。
見た目は、キャンプで使う普通のオイルランタンと変わりません。
でも、このランプには給油口がないんです。

リラさんは、これを渡してくれた時こう言いました。

「眠れないなら、その『うるさい頭』を使いなさい。
そのランプは、持ち主の不安や雑念(ノイズ)を吸い上げて燃えるのよ」

半信半疑で火種を近づけると、私の溜め息を吸い込むように、ポッと小さな灯りがともりました。
オレンジ色の優しい炎。それは、私の「不安」が燃えている色でした。


【アーカイブ】図書館塔の記録より

名称:静寂の灯火(サイレント・ウィック)

概要:
精神感応型の照明器具。
周囲の「思考ノイズ」や「負の感情」を燃料(オイル)として消費し、物理的な光と熱に変換する。

効能:
燃焼中、使用者の思考は強制的にクリアになり、完全な静寂(ゾーン)が訪れる。
現代で言う「焚き火」を見つめる時の精神状態に近い。

(アイリスちゃんによると、昔の人はこれを使って瞑想をしたそうです)


孤独は、自分とのお喋りの時間

ランプを見つめていると、頭の中の雑音が少しずつ燃えて、静かになっていきます。
チロチロ……という燃焼音だけが響く部屋。

その時、リョウリちゃんがホットウイスキーを持ってきてくれました。
「静かな夜は、大人味のココアか、これに限るね!」って。

湯気の向こうで揺れる炎を見ながら、私は気づきます。
「一人ぼっち」は寂しいことじゃなくて、誰にも邪魔されずに自分自身の声を聞くための、とても贅沢な時間なんだって。

おやすみなさい、迷える旅人さん

もし今夜、貴方の頭の中がうるさくて眠れないなら。
想像してみてください。
貴方の枕元にも、このランプがあることを。

その不安は、全部燃やして灯りにしてしまいましょう。
明日の朝には、きっと綺麗な灰になって、心は軽くなっているはずですから。

それでは、良い夢を。

-星屑の短編集(Short Stories)
-, ,